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小説 書く 時間

細部
作成した 15.04.2020
著者: Maiko
ビュー: 615

評価:  5 / 5

スターはアクティブです
 

恩田 陸(おんだ・りく) 年、宮城県生まれ。 92年『六番目の小夜子』でデビュー。 年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。 06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。 07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。 17年『蜜蜂と遠雷』で第回直木三十五賞、年本屋大賞を受賞。著書多数。. 確かに、ふんだんに時間を使えるのは理想かもしれない。でももし仮に今の自分に、神様のお慈悲により、膨大な時間が与えられたとしたら、本当に執筆が捗るのか、いい小説を沢山書けるようになるのか、と考えると、実は正直自信がないのです。 もし、今それだけの時間があったら、別のことに費やしてしまう気がします。本を読んだり、コンサートを見たり、美術館にも行きたいし、ジムで汗を流してもみたいし、夜は気ままに行きつけの飲み屋で酒を飲んだり、ひょっとしたら不埒な「恋」を求めてしまうかもしれない。 仮に時間があったところで、結局執筆に充てる時間は今と大して変わらないのかもしれません。「いつでも書ける」という環境が「いつもは書けない」理由と言い訳を色々とこしらえて、むしろ今より書くスピードが緩慢になり、内容も悪い方向へ向かってしまう可能性すら、これまでの僕の性格なら、ありえない話ではないと。 「小説を書く」とか「言葉を紡ぐ」という作業は、工場の生産設備のように、1時間10個作れる設備だから、10時間稼働させたら100個できるよ、みたいな単純なものではない気がします。 集中力と持続力の掛け合わせであったり、体調管理であったり、意欲やメンタルの有り様であったり、心身を取り巻く様々なファクターが混然となって、結果としての一つの作品に昇華される無形資産なんだと思います。 なので、「膨大な時間が欲しい」だなんて欲は言いいません。 あと、もう一時間、いや30分でもいい。 心身両方に付いた「贅肉」を落とす時間が、ちょっと欲しいだけ。.

張: 1日の中で午前中は書く時間、午後はインプット、などと時間を分けていらっしゃいますか。 恩田: 午前中から午後にかけて執筆し、夕飯を食べた後はテレビを見たり本を読んだりしていますね。以前は徹夜して、朝まで書いて、朝、新聞が来たら読んで寝る生活でした。そのリズムが真逆になってきています。 張: 机に向かわれる時間の長さは、夜型だった時も朝型になった今もだいたい同じですか。 恩田: 締め切りありきです(笑)。当時は、昼であろうと深夜早朝であろうと、入稿するまでが営業時間みたいな雰囲気でした。 張: 手帳はお使いになっていますか。 恩田: 手帳はないとダメですね。スケジュールやTo Doリストとして、何をやらなきゃいけないかを書くために使います。 張: 特に締め切りなど(笑) 恩田: もちろん! 締め切りは変えようがないですからね(笑)。スマホを手帳代わりに使っている人もいますが、書いたことが物理的に残らなくて不安じゃないのかなと思います。数年前、紙問屋の社長と「一番優れた記録媒体は何か」という話をしたのですが、その社長さんは和紙が一番だとおっしゃるんですよ。それは歴史が証明しているからって。例えば、出始めの頃の大きな8インチのフロッピーディスクなんて、今はもうないじゃなないですか。CDもDVDも、もしかしたら想定よりもはるかに早く劣化して使えなくなるかもしれない。するとやっぱり紙が一番だよね、って。あと自分で字を書くと、書いた時のことを何となく思い出せますよね。入力して画面上に表示される文字だと、その時の記憶が消え落ちちゃう。 張: 手書きで残しておくことの重要性ですね。 恩田: アイデアメモのようなノートを持っていますが、これは手書きじゃないとダメですね。 張: 我々も「手書き」ということにはかなり注目しています。手帳にしてもノートにしても、手で書くことで、クリエイティビティも生まれるし、一覧性や即時性、振り返りもしやすいだろうと。今日はどうもありがとうございました。次の作品も楽しみにしています。.

これまで、学生や独身のサラリーマンの人達を、とても羨ましく思う時期がありました。仕事で付き合っている人の中にも、不動産経営をしている人や株で一財を築いている人など、明らかに「昼間の時間をもてあましている」と思われる人も沢山知っています。 そういう人を見ると、実に時間の使い方が「もったいないなあ」と思います。時間を売ってくれ、と本気で思います。株の動向を毎日追っかけているとか、政府やマスコミの批判話に明け暮れていたりとか。まあ、時間をどう使おうが自由だし、人それぞれの価値観ですから、僕がどうこう言う話ではないのですが。 眠い目と鉄の様な体躯を無理矢理鞭打って覚醒させ、早朝ちまちま筆を進めている僕からみたら、自分の裁量でどうにでもなる時間を持っている、ということが何と羨ましいことか。.

確かに、ふんだんに時間を使えるのは理想かもしれない。でももし仮に今の自分に、神様のお慈悲により、膨大な時間が与えられたとしたら、本当に執筆が捗るのか、いい小説を沢山書けるようになるのか、と考えると、実は正直自信がないのです。 もし、今それだけの時間があったら、別のことに費やしてしまう気がします。本を読んだり、コンサートを見たり、美術館にも行きたいし、ジムで汗を流してもみたいし、夜は気ままに行きつけの飲み屋で酒を飲んだり、ひょっとしたら不埒な「恋」を求めてしまうかもしれない。 仮に時間があったところで、結局執筆に充てる時間は今と大して変わらないのかもしれません。「いつでも書ける」という環境が「いつもは書けない」理由と言い訳を色々とこしらえて、むしろ今より書くスピードが緩慢になり、内容も悪い方向へ向かってしまう可能性すら、これまでの僕の性格なら、ありえない話ではないと。 「小説を書く」とか「言葉を紡ぐ」という作業は、工場の生産設備のように、1時間10個作れる設備だから、10時間稼働させたら100個できるよ、みたいな単純なものではない気がします。 集中力と持続力の掛け合わせであったり、体調管理であったり、意欲やメンタルの有り様であったり、心身を取り巻く様々なファクターが混然となって、結果としての一つの作品に昇華される無形資産なんだと思います。 なので、「膨大な時間が欲しい」だなんて欲は言いいません。 あと、もう一時間、いや30分でもいい。 心身両方に付いた「贅肉」を落とす時間が、ちょっと欲しいだけ。.

しかし、そういう時も、僕は自戒を含めて、こう思うようにしています。 「限られた時間を有効に使うことが出来ない人間に、膨大に有り余る時間など使いこなせるはずがない」. 今は、執筆時間を「早朝2時間(朝4時~6時)」と決めています。 学生時代よりは、時間も時間帯も限定されてしまっていますが、「この時間しか書けないのだから」と強く意識して、却って昔より集中できている気もします。. 作家になるきっかけ、 作家になってから. 恩田 陸(おんだ・りく) 年、宮城県生まれ。 92年『六番目の小夜子』でデビュー。 年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。 06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。 07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。 17年『蜜蜂と遠雷』で第回直木三十五賞、年本屋大賞を受賞。著書多数。. 関連タグ インタビュー 文学 音楽.

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関連タグ インタビュー 文学 音楽.
  • 張: 1日の中で午前中は書く時間、午後はインプット、などと時間を分けていらっしゃいますか。 恩田: 午前中から午後にかけて執筆し、夕飯を食べた後はテレビを見たり本を読んだりしていますね。以前は徹夜して、朝まで書いて、朝、新聞が来たら読んで寝る生活でした。そのリズムが真逆になってきています。 張: 机に向かわれる時間の長さは、夜型だった時も朝型になった今もだいたい同じですか。 恩田: 締め切りありきです(笑)。当時は、昼であろうと深夜早朝であろうと、入稿するまでが営業時間みたいな雰囲気でした。 張: 手帳はお使いになっていますか。 恩田: 手帳はないとダメですね。スケジュールやTo Doリストとして、何をやらなきゃいけないかを書くために使います。 張: 特に締め切りなど(笑) 恩田: もちろん! 締め切りは変えようがないですからね(笑)。スマホを手帳代わりに使っている人もいますが、書いたことが物理的に残らなくて不安じゃないのかなと思います。数年前、紙問屋の社長と「一番優れた記録媒体は何か」という話をしたのですが、その社長さんは和紙が一番だとおっしゃるんですよ。それは歴史が証明しているからって。例えば、出始めの頃の大きな8インチのフロッピーディスクなんて、今はもうないじゃなないですか。CDもDVDも、もしかしたら想定よりもはるかに早く劣化して使えなくなるかもしれない。するとやっぱり紙が一番だよね、って。あと自分で字を書くと、書いた時のことを何となく思い出せますよね。入力して画面上に表示される文字だと、その時の記憶が消え落ちちゃう。 張: 手書きで残しておくことの重要性ですね。 恩田: アイデアメモのようなノートを持っていますが、これは手書きじゃないとダメですね。 張: 我々も「手書き」ということにはかなり注目しています。手帳にしてもノートにしても、手で書くことで、クリエイティビティも生まれるし、一覧性や即時性、振り返りもしやすいだろうと。今日はどうもありがとうございました。次の作品も楽しみにしています。.
  • 次ページ 構想から作品の視覚化へ インプットの質向上、今後の展開. しかし、そういう時も、僕は自戒を含めて、こう思うようにしています。 「限られた時間を有効に使うことが出来ない人間に、膨大に有り余る時間など使いこなせるはずがない」.

書いた小説の文字数が少ない!5W1Hで描写を足そう

次ページ 構想から作品の視覚化へ インプットの質向上、今後の展開. 張: 優れた仏師は仏様を掘るのではなく、木や石の中から仏様を「取り出す」という表現を聞いたことがあります。恩田さんも、物語は頭の中に全部できていて、それを書き写しているような感覚ですか? 恩田: いえ、そんな美しいものでは…。先ほども言ったように、ひたすら書きながら考えて、考えて…。それで全部終わってから「あぁ、落ち着くところに落ち着いた」と納得します。ただ、小説の構想を他人に相談するときは、自分の中でほぼできていますね。他人に向かって話すことで、考えていることが固まることはよくあります。雑談ってすごく楽しいし、いろんな情報が入ってくる。やっぱり資料や映像を見るだけではなく、人同士でなければ得られないものってすごくあるなと思います。リアルなコミュニケーションが作品づくりにも重要なんです 張: 「蜜蜂と遠雷」は、1次予選から本選まで、コンクール独特の時間軸が特徴になっていますが、栄伝亜夜と風間塵の出会いなど、その合間の場面も印象的でした。「時間の流れ」も意識して書かれましたか。 恩田: そうですね…何しろほぼ2週間の間に起こった出来事を十数年かけて書いているので(笑)。塵が「一瞬と永遠は同じだ」と言う場面があります。特に音楽は、演奏するそばから消えていくものですが「永遠に触れて」いる感じがする。そんな時間の不思議さというのを表現したかったんです。心の中に焼きつく瞬間、残る瞬間というのは誰しも持っていると思います。なぜ今までこんなに多くの人が音楽で努力し、精進してきたかというと、「永遠に触れられる」からだと思うんです。 張: 塵がコンクールの間、花屋に身を寄せていましたが、生け花と音楽が通じるとは、正直、想像がつきませんでした。 恩田: 彼が養蜂家の息子だから出てきたエピソードですが、生け花と音楽も、すごく近いものがあるなと。とてもはかないのですが、芸術性のあり方としては似ているんじゃないかと考えました。生け花もまさに「永遠に触れる」芸術なのではないかと。.

確かに、ふんだんに時間を使えるのは理想かもしれない。でももし仮に今の自分に、神様のお慈悲により、膨大な時間が与えられたとしたら、本当に執筆が捗るのか、いい小説を沢山書けるようになるのか、と考えると、実は正直自信がないのです。 もし、今それだけの時間があったら、別のことに費やしてしまう気がします。本を読んだり、コンサートを見たり、美術館にも行きたいし、ジムで汗を流してもみたいし、夜は気ままに行きつけの飲み屋で酒を飲んだり、ひょっとしたら不埒な「恋」を求めてしまうかもしれない。 仮に時間があったところで、結局執筆に充てる時間は今と大して変わらないのかもしれません。「いつでも書ける」という環境が「いつもは書けない」理由と言い訳を色々とこしらえて、むしろ今より書くスピードが緩慢になり、内容も悪い方向へ向かってしまう可能性すら、これまでの僕の性格なら、ありえない話ではないと。 「小説を書く」とか「言葉を紡ぐ」という作業は、工場の生産設備のように、1時間10個作れる設備だから、10時間稼働させたら100個できるよ、みたいな単純なものではない気がします。 集中力と持続力の掛け合わせであったり、体調管理であったり、意欲やメンタルの有り様であったり、心身を取り巻く様々なファクターが混然となって、結果としての一つの作品に昇華される無形資産なんだと思います。 なので、「膨大な時間が欲しい」だなんて欲は言いいません。 あと、もう一時間、いや30分でもいい。 心身両方に付いた「贅肉」を落とす時間が、ちょっと欲しいだけ。.

関連タグ インタビュー 文学 音楽. 高橋熱です。 めっきり秋ですね。 このまま直ぐに冬になってしまうのでしょうか。 寒くなると、朝布団から抜け出すのに難儀し、うだうだしてる間に、自由な作業時間が直ぐに過ぎてしまいます。 書く時間の確保がただでさえ難しいというのに。.

1 To Do 8CDDVD. …… 1 …2. 510 31. 92 262 0659 0720 17. …… …… 1 .

謎の創作集団による、狂気と混沌の執筆バトル。

張: 近い未来ではなく、5年後や10年後、書き続ける自分の未来を描いた時に、何か思うことはありますか。 恩田: きっとこのままあがきながら続けていくんだろうなという予感はありますね。楽になったら、もうその時は終わっているんだろうなって(笑)。 張: 楽にはならなくても、ビジョンというか、次にこんな作家になりたいというのは何かありますか。 恩田: 予測のつかない、何を書くか分からない人でいたいなと。チャレンジとしては、大河メロドラマのようなものをやってみたいです。親子3代の物語。作品の最後に年表をつけるのが夢なので、歴史小説のような作品を1回書いてみたいです。 張: 例えば日本橋でよく見かけるのれん1つとっても、そののれんの裏側には先祖代々のものすごい物語があるわけじゃないですか。 恩田: そうですね、この近辺は老舗の問屋さんばかり。老舗の人はその活動を見ていても、新しいなと思いますよね。もし、時間を行き来できるとしたら、江戸時代を見てみたいですね。時代小説も好きで読みますが、特にどんな言葉でしゃべっていたのかを知りたいですね。音は残らないから。実際に本当は江戸っ子ってどんな風にしゃべっていたんだろうって。.

僕が小説を書き始めたのは大学生の頃です。同時はバブル経済の真っ只中、「何でも潰しが利くだろう」ということと、受験が3教科だけで済む私立の文系に進んだ僕は、創始者の銅像も欠伸する程、時間は有り余っていました。大学にはほぼ毎日通っていましたが、それは麻雀のメンツと飲み相手を探す為に、でした。 その頃、暇な時間を、全て小説を書くことに費やしていたか、と問われると全く「否」でした。当時はただ何となく、「将来は小説書いて食べていけたらいいなあ」くらいの、いや、自分としては、当時なりにかなり真剣に思っていたのかもしれませんが、「そんなにがつがつ書かなくても、自分にはそこそこ素質があるから、文学賞に応募し続けてさえいれば、いずれは」なんて、若さ故の自信過剰、厚顔無恥の極みでした。危機感も何もあったものじゃありません。飲食店のバイトで稼いだお金は皆洋服やCDやデートに使ってしまい、酒も浴びる程飲みました。 そんな合間に、小説を書いていたので、今のように「早朝2時間は執筆に充てる」というような生活リズムを作ることもなく、書きたくなった時にだけ書く、という行き当たりばったりの執筆姿勢でした。( 『ラブドールズ・ライフ』 という小説の原型はその頃書いたものです。学生時代ですから、テーマも作風も、今と全然違っていることにお気づきになるかと思います).

しかし、そういう時も、僕は自戒を含めて、こう思うようにしています。 「限られた時間を有効に使うことが出来ない人間に、膨大に有り余る時間など使いこなせるはずがない」. 張: 優れた仏師は仏様を掘るのではなく、木や石の中から仏様を「取り出す」という表現を聞いたことがあります。恩田さんも、物語は頭の中に全部できていて、それを書き写しているような感覚ですか? 恩田: いえ、そんな美しいものでは…。先ほども言ったように、ひたすら書きながら考えて、考えて…。それで全部終わってから「あぁ、落ち着くところに落ち着いた」と納得します。ただ、小説の構想を他人に相談するときは、自分の中でほぼできていますね。他人に向かって話すことで、考えていることが固まることはよくあります。雑談ってすごく楽しいし、いろんな情報が入ってくる。やっぱり資料や映像を見るだけではなく、人同士でなければ得られないものってすごくあるなと思います。リアルなコミュニケーションが作品づくりにも重要なんです 張: 「蜜蜂と遠雷」は、1次予選から本選まで、コンクール独特の時間軸が特徴になっていますが、栄伝亜夜と風間塵の出会いなど、その合間の場面も印象的でした。「時間の流れ」も意識して書かれましたか。 恩田: そうですね…何しろほぼ2週間の間に起こった出来事を十数年かけて書いているので(笑)。塵が「一瞬と永遠は同じだ」と言う場面があります。特に音楽は、演奏するそばから消えていくものですが「永遠に触れて」いる感じがする。そんな時間の不思議さというのを表現したかったんです。心の中に焼きつく瞬間、残る瞬間というのは誰しも持っていると思います。なぜ今までこんなに多くの人が音楽で努力し、精進してきたかというと、「永遠に触れられる」からだと思うんです。 張: 塵がコンクールの間、花屋に身を寄せていましたが、生け花と音楽が通じるとは、正直、想像がつきませんでした。 恩田: 彼が養蜂家の息子だから出てきたエピソードですが、生け花と音楽も、すごく近いものがあるなと。とてもはかないのですが、芸術性のあり方としては似ているんじゃないかと考えました。生け花もまさに「永遠に触れる」芸術なのではないかと。.

1 To Do 8CDDVD. 92 262 0659 0720 17.

創作活動をする方のために役立つ創作情報や小ネタ、小説公募情報などをまとめるまとめブログです。

張: 優れた仏師は仏様を掘るのではなく、木や石の中から仏様を「取り出す」という表現を聞いたことがあります。恩田さんも、物語は頭の中に全部できていて、それを書き写しているような感覚ですか? 恩田: いえ、そんな美しいものでは…。先ほども言ったように、ひたすら書きながら考えて、考えて…。それで全部終わってから「あぁ、落ち着くところに落ち着いた」と納得します。ただ、小説の構想を他人に相談するときは、自分の中でほぼできていますね。他人に向かって話すことで、考えていることが固まることはよくあります。雑談ってすごく楽しいし、いろんな情報が入ってくる。やっぱり資料や映像を見るだけではなく、人同士でなければ得られないものってすごくあるなと思います。リアルなコミュニケーションが作品づくりにも重要なんです 張: 「蜜蜂と遠雷」は、1次予選から本選まで、コンクール独特の時間軸が特徴になっていますが、栄伝亜夜と風間塵の出会いなど、その合間の場面も印象的でした。「時間の流れ」も意識して書かれましたか。 恩田: そうですね…何しろほぼ2週間の間に起こった出来事を十数年かけて書いているので(笑)。塵が「一瞬と永遠は同じだ」と言う場面があります。特に音楽は、演奏するそばから消えていくものですが「永遠に触れて」いる感じがする。そんな時間の不思議さというのを表現したかったんです。心の中に焼きつく瞬間、残る瞬間というのは誰しも持っていると思います。なぜ今までこんなに多くの人が音楽で努力し、精進してきたかというと、「永遠に触れられる」からだと思うんです。 張: 塵がコンクールの間、花屋に身を寄せていましたが、生け花と音楽が通じるとは、正直、想像がつきませんでした。 恩田: 彼が養蜂家の息子だから出てきたエピソードですが、生け花と音楽も、すごく近いものがあるなと。とてもはかないのですが、芸術性のあり方としては似ているんじゃないかと考えました。生け花もまさに「永遠に触れる」芸術なのではないかと。.

僕が小説を書き始めたのは大学生の頃です。同時はバブル経済の真っ只中、「何でも潰しが利くだろう」ということと、受験が3教科だけで済む私立の文系に進んだ僕は、創始者の銅像も欠伸する程、時間は有り余っていました。大学にはほぼ毎日通っていましたが、それは麻雀のメンツと飲み相手を探す為に、でした。 その頃、暇な時間を、全て小説を書くことに費やしていたか、と問われると全く「否」でした。当時はただ何となく、「将来は小説書いて食べていけたらいいなあ」くらいの、いや、自分としては、当時なりにかなり真剣に思っていたのかもしれませんが、「そんなにがつがつ書かなくても、自分にはそこそこ素質があるから、文学賞に応募し続けてさえいれば、いずれは」なんて、若さ故の自信過剰、厚顔無恥の極みでした。危機感も何もあったものじゃありません。飲食店のバイトで稼いだお金は皆洋服やCDやデートに使ってしまい、酒も浴びる程飲みました。 そんな合間に、小説を書いていたので、今のように「早朝2時間は執筆に充てる」というような生活リズムを作ることもなく、書きたくなった時にだけ書く、という行き当たりばったりの執筆姿勢でした。( 『ラブドールズ・ライフ』 という小説の原型はその頃書いたものです。学生時代ですから、テーマも作風も、今と全然違っていることにお気づきになるかと思います).

とはいえ、自己嫌悪ばかりもしてられないので、書く時間を確保できない点については、こう解釈するようにしています。 「今は小説を書くことよりも、未来の小説の実となるシーズ(種)を徹底的に集めている時期なのだ」と。「いつか書く(書かれる)だろう」小説の厚みと深さを必ずや増すものだと信じて。. しかし、そういう時も、僕は自戒を含めて、こう思うようにしています。 「限られた時間を有効に使うことが出来ない人間に、膨大に有り余る時間など使いこなせるはずがない」.

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恩田 陸(おんだ・りく) 年、宮城県生まれ。 92年『六番目の小夜子』でデビュー。 年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。 06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。 07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。 17年『蜜蜂と遠雷』で第回直木三十五賞、年本屋大賞を受賞。著書多数。. 張: 今も時間や締め切りに追われる局面も多いと思いますが、どうやりくりされていますか。 恩田: やりくりできているかわかりませんが(笑)。できると信じるしかないなと。同じことを続けていて、熟練すれば「このぐらいの時間かかるだろう」と分かるようになるかもしれませんが、私の小説は毎回違うので「前はできたけど、次はできないかもしれない」という恐怖感を常に抱いています。それを逆に「今までできたから、次もできるに違いない」と自分に言い聞かせるというか……。ある程度、量をこなせばうまく書けるようになるだろうという幻想を抱いて、どんな仕事も受けてきたつもりですが、量をこなしたらできるというものでもない仕事もあるんだと、最近分かってきました。 張: クリエイティブな仕事は、量をこなせば次が生まれてくるというものでもないということですね。恩田さんは作品のジャンルの幅をどんどん広げておられますが、今後の展開への思いはありますか。 恩田: そうですね……同じことの連続はどうしても縮小再生産になるので、それを避けるためには違うことをやるしかありません。ただ、ストーリーは古今東西いろんなパターンが出尽くしていますから、演出を変えるしかない。そのせめぎ合いです。そこでいかに自分のハードルを上げて芸域を広げるか。その難しさを感じつつ書いています。 張: 今回のようにW受賞するとハードルは勝手に上がりますよね。 恩田: 次回作はバレエやダンスをテーマにしようと考えています。取材をすると、振付師は、自分の踊れる以上のものは振り付けできないそうなんです。私がやっていることも同じだなと。音楽家も小説家も、一流の人は他の人の作品をよく読み、見聞きしている。インプットした以上のものをアウトプットすることはできない。だから、インプットの方の質をさらに上げていかないとダメなんだと思います。 張: なるほど。今までの経験をベースにすると、同じ1時間でも質の高いインプットができる気がしますが。 恩田: それはどうでしょう。逆に慣れてきて、「だいたいこんな感じだな」と思っちゃうことはあります。新鮮な気持ちで見聞きできない面があるので、そこは難しいです。先入観や知っていることがなんとなく邪魔することがありますから。.

張: 改めて、直木賞と本屋大賞のW受賞を振り返っていかがですか。 恩田: 自分のこととは思えない感じです。なんか他人事のようで…。 張: 受賞作品となった「蜜蜂と雷雲」を拝読し、私も読書を通じて久々に心が躍りました。構想や取材にはかなりの時間をかけられたそうですね。 恩田: 遡れば、取材を始めたのは12年以上前でしたが、結果としてはすべてが必要な時間でした。3~4年で書き終えていたら、たぶんこのような作品にはならなかったでしょう。モデルにしたコンクールの開催は3年に1回なので、結局4回通いました。やっぱり1~2回では分からないこともあり、同じ曲でも繰り返し聞くと、聴こえ方が全然違ってきます。今思えば、時間をかけた甲斐があったなと。でもそれは結果論で、本当はもっと早く書き終えたかったのですが(笑)。 張: 最初に聴いたときの感覚と3年後、あるいはそのまた3年後では違った感覚になるものですか。 恩田: その間に自分も勉強して「なるほど、こういうことだったんだ」と腑に落ちることもあります。審査員が選ぶ際の基準も少しずつ見えてきますし。でも、やっぱり「なぜこの人が選ばれたんだろう」と3年経っても分からないこともあります。同じものを繰り返して聴くことも、違うものをたくさん聴く経験も大事です。 張: 登場人物の描写が素晴らしいですね。私はすっかり風間塵のファンになってしまいました。モデルになった方は? 恩田: いないです。誰もモデルにしていません。自然の中でミツバチの羽音を聴いている男の子という設定で風間塵を最初に思い浮かべました。塵が天然の天才少年だったら、そのライバルになるのはどんな子かな、と他の登場人物が出てきた感じです。だいたいいつも、核になる1人が決まり、じゃあこの人と関係するのは…と登場人物の輪ができるケースが多いです。 張: 今回、審査員の存在も非常に重要でしたよね。やはりコンクールからイメージされたんですか。 恩田: そうですね。コンクールの取材に加えて、もともとピアニストや音楽家が書いた本を好きでよく読んでいました。調律師やステージマネジャーの本も読み、その辺りからいろいろ連想して作品ができていったのです。そう考えると、作品にかかった時間は計り知れないですね。.

確かに、ふんだんに時間を使えるのは理想かもしれない。でももし仮に今の自分に、神様のお慈悲により、膨大な時間が与えられたとしたら、本当に執筆が捗るのか、いい小説を沢山書けるようになるのか、と考えると、実は正直自信がないのです。 もし、今それだけの時間があったら、別のことに費やしてしまう気がします。本を読んだり、コンサートを見たり、美術館にも行きたいし、ジムで汗を流してもみたいし、夜は気ままに行きつけの飲み屋で酒を飲んだり、ひょっとしたら不埒な「恋」を求めてしまうかもしれない。 仮に時間があったところで、結局執筆に充てる時間は今と大して変わらないのかもしれません。「いつでも書ける」という環境が「いつもは書けない」理由と言い訳を色々とこしらえて、むしろ今より書くスピードが緩慢になり、内容も悪い方向へ向かってしまう可能性すら、これまでの僕の性格なら、ありえない話ではないと。 「小説を書く」とか「言葉を紡ぐ」という作業は、工場の生産設備のように、1時間10個作れる設備だから、10時間稼働させたら100個できるよ、みたいな単純なものではない気がします。 集中力と持続力の掛け合わせであったり、体調管理であったり、意欲やメンタルの有り様であったり、心身を取り巻く様々なファクターが混然となって、結果としての一つの作品に昇華される無形資産なんだと思います。 なので、「膨大な時間が欲しい」だなんて欲は言いいません。 あと、もう一時間、いや30分でもいい。 心身両方に付いた「贅肉」を落とす時間が、ちょっと欲しいだけ。.

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      23.04.2020 07:04 Wakumi:
      これまで、学生や独身のサラリーマンの人達を、とても羨ましく思う時期がありました。仕事で付き合っている人の中にも、不動産経営をしている人や株で一財を築いている人など、明らかに「昼間の時間をもてあましている」と思われる人も沢山知っています。 そういう人を見ると、実に時間の使い方が「もったいないなあ」と思います。時間を売ってくれ、と本気で思います。株の動向を毎日追っかけているとか、政府やマスコミの批判話に明け暮れていたりとか。まあ、時間をどう使おうが自由だし、人それぞれの価値観ですから、僕がどうこう言う話ではないのですが。 眠い目と鉄の様な体躯を無理矢理鞭打って覚醒させ、早朝ちまちま筆を進めている僕からみたら、自分の裁量でどうにでもなる時間を持っている、ということが何と羨ましいことか。.

      20.04.2020 09:38 Shoma:
      次ページ 構想から作品の視覚化へ インプットの質向上、今後の展開.

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